ご無沙汰です。
ナカムラには音楽について以前から強く支持する説があって,それは「名曲はほとんどすべて1980中頃以前につくられた」というものである。というか,しばらく忘れてたんだけど,この前,若い友達と晩飯たべながらこの話題になったので,思わず力説してしまった。
いま,30歳以上の人が「いい曲だなあ」と聴くのは,どういう曲だろう? 多くの場合,自分が多感な10代から20代に流行っていた曲だったりするが,それ以外の,リアルタイムでは知らないが気に入っている曲があったとすると,たいてい1980年中頃以前の曲じゃないですか? ショパンとかベートーベンは言うまでもないが,ポップスでもビートルズの Let it be だったり,かぐや姫の神田川だったり,ビリー・ジョエルの Honesty だったりで,90年以降にできたのはほとんどないだろう。もしろん,最近でもいい曲はつくられてはいるんだけど,あ,あの曲ね,と誰もが知ってる,そして誰もがいいと思う曲ってほとんど1980年中頃以前の曲じゃないだろうか?
これは,ひとつには1980年代以降は音楽が細分化してみんながいいと思うジャンルがなくなったというのもあるだろうが,ほかにも1980年代までに現在ある音楽のスタイルがほぼ出尽くしたというのもある気がする。ナカムラの高校時代にパンクロックとレゲエ(はじめは「レガエ」っていったんだよね)がでてきて,そのあと,80年代にラップとかヒップポップがヒットして,だけど,それ以降とくにメジャーなムーブメントはないと思う。(M-baseってどうなったんだと検索してみたら,日本語の解説はみあたらなかったが,スティーブコールマンがまだm-base.comというサイトで頑張ってた。)
思えばナカムラあたりの世代が,「次はどんな音が聴けるのだろう?」と胸をときめかせ,乏しい小遣いを握って,レコード屋(当時)に通った最後ではなかろうか? ELPの「恐怖の頭脳改革」(この日本語タイトルなんとかしてくれ)とかウェーザーリポートの「8:30」とかの発売時は今でもよくおぼえている。しかし今,好きなアーティストが新譜を出したときいても,大体内容は想像できてしまうのではなかろうか。そう考えると, Bitches Brew とかをリアルタイム経験してるひと世代上ってうらやましいですね。でも,いまの若者はわれわれ世代のおじさんがうらやましいのかも知れない。いいだろ。