2015年2月19日木曜日

地球磁場は光子なのか?

さて,また電磁気学の話題です。物理に興味のない人はあしからず(前野さんの宿題もまだだ,すみません)。

ナカムラが学生のころからもっている諸々の疑問のひとつに「地球磁場は光子か?」というのがある。アインシュタインが提唱した光量子説から量子力学が発展して,プランク分布がどうの,というのは,この話題に興味のあるかたはとっくにご存知と思うので省略するが,量子電磁気学によると,いまわれわれが電磁場と思っているものは,実は量子化された光子という実体で説明される,ということになっている。

そして,電磁場のうちの電場については,クーロン場の量子化がなにやら難しくて,仮想光子がどうのこうのという話になるのだが,磁場については全部光子でおっけ,というような雰囲気がある。雰囲気,と書いたのは,ナカムラの手元およびネット上でみた文献には,はっきりとそうとは書いてないのがほとんどだからだ。Wikipedia英語版のvirtual particleの項目には双極子磁場の磁力も仮想光子が運ぶと書いてあるが,本当かなあ。

考えるに,地球磁場みたいな双極子磁場は,イメージとしてなんか粒子っぽくない。twitterでこの疑問を書いたら,地磁気の専門家からも,光子じゃない印象,という返信をいただいた。やっぱり現場の感覚としてはそんな気がする。

そもそも時間変化していないので,光子一個分のエネルギーとされるhνはゼロなのに,地球磁場は厳然として巨大なエネルギーをもっている。hν→0の極限で粒子数が無限大になるから有限のエネルギーをもっているのだろうか,と学生のころは漠然と考えていたが,最近,電磁場の解析力学をいろいろと勉強しているうちに,やっぱり地球磁場は光子じゃないんじゃなかろうか,と考えるようになってきた。「光子じゃない」というのは,一個,二個と数えられる存在ではないという意味である。

ところが,いわゆる調和振動子に分解するという計算をしてみると光子じゃないっぽいのだが,遅延ポテンシャルで考えてみると伝搬性のイメージになったりして,よくわからん,ということになった。で,ちょっと長くなるので次の記事に考えたことをまとめたのだが,ナカムラは量子力学,とくに場の量子論については門外漢なので,これを読まれた識者のご意見をうかがいたい。電場のクーロンポテンシャルと仮想光子についても,思うところがあるのだが,まだ頭の中が整理されてないので,それについてはのちほど。

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